住宅コラム

ペットは、私たち人間にとって癒しの存在であると共に、大切な家族です。そんな家族に寄り添った住宅について、知っていることはどのくらいありますか?歩きやすい床材、騒音・ニオイの対策、ケガしにくい間取り、介護のしやすさ……意外と考えることは多くあります。人もペットも過ごしやすい家づくりをするためには、どんなことに気をつければ良いでしょうか。
「ペットを飼っているけど、どんな家にしたらいいかわからない」
「多頭飼いの場合はどうしたらいいの?」
「だからといって人も住みやすくなきゃ……」
今回は犬・猫を代表に、ペットと人が共生できる理想の家づくりについて、詳しく解説していきます。
まずはペットが安心安全に暮らすために、家に必要な工夫を見ていきましょう。ペットは私たち人間とは当然違う生き物です。細やかな配慮が必要になってきます。
人は靴下やスリッパを使って足の衝撃を和らげることができますが、犬・猫はそうもいきません。特に足の関節や肉球は非常にデリケートな箇所です。硬くてツルツルとした床面は、足を滑らせるなど、ペットがケガをする原因となります。フローリングを採用する場合は、ペット用のコーティング剤が施されたものを選びましょう。最近ではフローリングの中でも、コルク材を使った柔らかいものも流通しています。ある程度グリップ力があって柔らかい素材を選ぶと良いでしょう。フローリングの他にも、柔らかい素材で出来たタイルカーペットもおすすめです。足元のクッションになるだけではなく、汚れた時にすぐ交換できるというメリットがあります。素材によっては防汚・防臭加工が施されたものもあります。他にはタイル材も、温度変化に敏感なペットには最適です。夏の暑さに弱い犬・猫のお気に入りスペースとなるでしょう。ただし、滑りやすい素材もあるため、表面の質感や滑りにくさを確認して選びましょう。必ずしも家全部の床をペット用にしろ、というわけではありません。お互いの生活スペースを考えながら、床材を選びましょう。
ペットと一緒に生活していると、想像以上に家は汚れやすいもの。だからこそ、家の内装を掃除しやすい材質や動線にすることが大切です。散歩から帰ってくると、足の汚れをちゃんと拭いたつもりでも汚れが残ってしまいがちです。泥汚れがサッと掃除できる床材にすると良いでしょう。玄関近くの床材をタイルにするなどがおすすめです。次に抜け毛対策。ペットの抜け毛は空気中に舞い上がり、時には糞尿の汚れがついていることもあります。大切な家族やペットが飲み込んでしまわないよう、掃除のしやすいフラットな設計にしましょう。特に汚れやすい床材は、水洗いや丸洗いできるものが適しています。隙間の多いフローリングだと掃除がしにくいデメリットがあるので、目地の間隔を広くするなどの工夫が必要です。またペットが散歩終わりにつくろげる空間作りの一環として、タイルを敷いた土間を採用している家もあります。汚れた時に、家具などの心配をすることなくホースを使って水洗いができます。
ペットと暮らしているとどうしても気になるのが、独特のニオイです。これは食べこぼしやトイレの排泄物によって出てきます。直接汚れがついていなくても、空気中にニオイ成分が拡散してしまい、壁や床に染み付いてしまうことがあります。どんなにこまめに掃除しても、完全に防ぐのは難しいものです。そんな時に使いたいのが、ニオイを吸着してくれる床材や壁紙です。撥水加工が施されているものもあり、水拭きなどでお手軽に掃除をすることができます。またカーテンも見落としがちなポイントです。防臭素材のものも流通しているので、窓の多いご家庭ほどカーテンのニオイ対策をしっかりしましょう。内装のほかには、空気清浄機や天井換気扇を採用することや、風通しが良く換気のしやすい間取りにするなどの工夫もできます。ペットと人、双方が快適に暮らせるためにもニオイ対策は重点的に行いたいポイントです。
これは犬に限定的な話になってしまいますが、ドッグガーデンを採用することも家づくりのポイントの一つです。家にドッグランがあれば、リード無しで犬がのびのびと運動できます。犬にとって走り回ることは、健康維持の他にも精神的な充足感を得るためにも必要不可欠です。特に運動量が必要な中・大型犬や好奇心旺盛なパピー期には、ストレス軽減に大いに役立ちます。また、自宅にドッグランがあることで安心・安全な環境を作ることも可能です。リラックスしながら愛犬がのびのびと遊んでいる姿は、家族にとっても幸せな時間を作ってくれるでしょう。散歩や外出が難しくなってくるシニア犬の場合も、体力や健康状態に合わせて無理なく運動できる環境として活用できます。愛犬のペースに合わせて運動することが可能です。しかしドッグガーデンの設置には注意するべきことも多くあります。例えばガーデニングが趣味の場合は、犬の体に悪影響のある植物を植えないことが必須になります。また中・大型犬のいるご家庭では、誤って脱走しないように飛び越えない高さのフェンスが必要です。他にも地面の整地、芝の管理などで初期費用が高額になってきます。何よりドッグガーデンを整えるには、それなりの敷地面積が必要です。敷地や予算と相談しながら、ドッグガーデンを整えてあげると良いでしょう。
犬・猫と一緒に生活していく中での家づくりは、多頭飼いの可能性も考えておく必要があります。なぜなら家の広さと間取りの動線を考えなければならないからです。多頭飼いの広さは、一般的に8〜10畳程度が推奨されています。動線の中に、食事・排泄・休息が交わりすぎないように工夫が必要です。例えば廊下を広々とする、行き止まりを作らないようにするなどがあげられます。またペットと人、両方の居場所を多めに用意することも大切です。落ち着ける場所を設置することで、双方が安心して、お互いに見守りながら過ごすことができます。ポイントは広さ・動線・居場所の3つ。これがクリアできることで、より快適な家づくりを実現できるでしょう。
どうしても人が家を留守にしている状況も出てきます。そういう時に活躍するのが、ペット用のフェンスです。主な設置場所の例としては、階段やキッチン、浴室、脱走してしまいやすい玄関や勝手口付近、ペットに侵入してほしくない場所などがあげられます。フェンスを設置することで、飼い主が不在時のリスク管理ができます。また災害時などでペットが驚いて脱走してしまう可能性を少しでも下げられます。また大事なコレクションや壊れてほしくない家具・家電の付近に設置することも、大切な家族と気持ちよく暮らしていくために必要なリスク管理です。全ての危険を防ぐことはできませんが、飼い主の心配を減らすことができます。
意外に見落としがちなのが、ペットのトイレの配置です。空いたスペースに設置してしまうと、ペットが安心して排泄をできなくなってしまう、そもそもトイレトレーニングに失敗してしまう可能性があります。家族から見えない位置にトイレを設置してあげると、ペットも安心して排泄をすることができます。人のトイレに扉がついているのと同じですね。洗面所付近や少し奥行きのある場所にトイレを置いてあげると、プライバシーが守られて良い環境を作ってあげることができるでしょう。
足腰の強いうちは問題ないかもしれませんが、急な階段はペットにとって危険が多い場所です。足を滑らせてしまったり関節を痛めてしまったりなど、健康的な害が出てくる可能性があります。また、ペットも歳を重ねます。シニアになった時にも安全に階段を上り下りできるよう、階段の勾配を緩やかにするほか、必要に応じてペットが自由に出入りできないようフェンスなどを設置しましょう。これはペットだけではなく、人にとっても優しい設計です。お互いがより過ごしやすい環境を作っていくことが、ペットと暮らす家において一番重要なポイントになります。

人に部屋があるように、犬にも専用のスペースを作ってあげると、プライバシーが守られて安心して過ごすことができます。特に「おこもり」できるようなこぢんまりした空間を作ってあげると、より安心感が高まります。階段下のデッドスペースや、リビングの一区画に設置してあげると良いでしょう。この時注意したいのが、犬の体格と性格です。体が大きいのに小さすぎる空間だと窮屈さを感じてストレスになってしまいます。また飼い主に甘えたい性格なのに離れた場所に専用スペースを作ってしまうと、せっかくの空間を使ってもらえない可能性もあります。それぞれの家族に合わせた空間作りをすることが大切です。
ペット用品というのは、どんどん増えていくもの。だからこそ、大容量のパントリーを設けると、生活が快適になります。例えば台所に人用とペット用のフード類をストックする場所を設置する、洗面所にペットのお風呂グッズを収納する場所を設ける、玄関にお散歩グッズを収納できる場所を用意するなどが挙げられます。特に台所のパントリーは収納容量を大きく作ると、動線的にも便利に使えます。場所があまりそうだと思っても、シニア期に入るとオムツなどの介護用品もしまうことができるので、大きく設置するのがおすすめです。
犬を飼っていると絶対に出てくる問題が、散歩の足の汚れをどう家に持ち込まないか、です。この時に活躍するのが玄関の「土間」の存在です。土間のメリットは、散歩後の足の汚れを水で洗い流せるところ。専用のホースなどを用意して、ペットの足を綺麗にすることができます。またタイルなどを使用すれば、土間自体のお手入れも簡単にすることができます。デッキブラシなどを利用すれば日常的にさっと綺麗にすることが可能です。またペットのためだけではなく、自転車やアウトドア趣味のものも気軽に置けます。人の生活にも役立つ空間です。
室内飼いのペットにとって、悩みのタネになるのが運動不足。お散歩に行っているとしても、日常的にペットが自由に動けるスペースがあれば、運動不足予防になります。室内に回遊動線を設ければ、ペットが室内を自由に移動できるため、日常的な活動量を確保する一助になります。さらに家族の快適さを追求するならば、ペットドアの導入も検討してみてください。また動線を増やすことは同時に人とペットの動線を交わらせないことにもつながります。こうしてお互いのテリトリーを分けてあげることで、快適な生活を送ることができるでしょう。
床材を柔らかなものにする、動線を設けるなどの準備はもちろん、暑さに弱い犬・猫にとって大事なのは空調設備です。犬や猫は暑さに弱く、熱中症のリスクにも注意が必要です。近年気温上昇が著しい日本では室温を適切に保てる空調設備と、室内の空気を循環させる換気計画が重要になってきます。それには、遠隔でも操作できる空調設備を導入することがおすすめです。最近はスマートフォンで手軽に操作できる仕組みも増えてきました。それに合わせて、ペットカメラを導入することも検討しましょう。飼い主が外出していても、大事な家族が過ごしている様子を見ることができます。

ここまでペットと暮らす家について詳しくみていきました。ペットと人、ともに住み心地の良い暮らしを実現するための家づくりには、様々なポイントがあります。
「全てを網羅するには予算や土地の余裕がない……」
「何を優先していいかわからない」
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